scrap book スクラップとは、断片、かけら、そして新聞や雑誌の切り抜きのこと。われらが植草甚一さんも、自分の好きなものを集めて、膨大なスクラップ・ブックを作っていた。ここでは、著者の連載から、対談、編集者の雑文など、本になる前の、言葉の数々をスクラップしていこうと思います。(編集部)
モヤモヤの日々

第139回 回復

浜の真砂は尽きるとも世にモヤモヤの種は尽きまじ。日々の暮らしで生まれるモヤモヤを見つめる夕刊コラム。平日17時、毎日更新。

7月11日に新型コロナウイルスのワクチン(1回目、ファイザー社製)を接種して以来、体調不良が続いていたが、ようやく回復してきた。昨日の夕方は鎮痛解熱剤を服用したものの、効果が切れだす夜中になっても微熱や痛み、倦怠感が出なかったため、そのまま就寝した。今朝は8時前に起床し、昼まで慎重に様子を見ていた。体調も気分もすっきりして、元気を取り戻したようだ。

微熱や倦怠感が続くのはしんどかったけれど、正直、接種日とその翌日まであった接種部位(右腕)の痛みが一番辛かったので、それがなくなっただけでも2日目、3日目はラクに感じた。不安はあった。しかし、新型コロナへの感染リスクと比べれば、不安は圧倒的に少なかったと個人的には思っている。

厚生労働省のホームページに載っているデータを確認し、30代男性でも発熱や痛み、倦怠感が生じるケースがあり(それぞれの確率にばらつきがあるが)、僕だけが例外的な状態に陥っているわけではないとわかったのも、心を安定させるのに役立った。なので、この連載の読者の方がもし不安になったとき、「宮崎も、なんだかドタバタやっていたしな」と思い出すことにより、少しでも心が穏やかになれば幸いである。とはいえ重篤になる場合も稀にあると思うので、十分に気をつけて経過観察してほしい。

さて、症状がおさまると、突然、エネルギーが沸き起こってきたように思ってしまいがちであるから注意をしたい。今回の一連の症状がワクチン接種による副反応かどうかの因果関係は確実にはわからないものの、そもそも僕はワクチンを打つ前からそんなに元気ではなかった。新型コロナの感染拡大によるストレスや運動不足などが重なり、疲れていたのだ。運動の機会を増やして体力をつけなければいけないと、しみじみと思い始めていたところだった。生活リズムも改善していきたい。今回の教訓を生かし、副反応がより起こりやすいと言われている2回目のワクチン接種に備えて、仕事のスケジュールを前倒しに組み直す必要がある。

まずは欲張りすぎず、妻に任せっきりになってしまっている愛犬ニコルの散歩から復帰したいと思う。ただし、それも大事をとって明日以降になってしまいそうだ。コロナ以降、失ってしまった日常はまだ回復していないし、「新しい日常」なるものがどういった日常なのかも、いまだ掴めないままでいる。今は、目の前にある日常からゆっくり回復させていきたい。

 

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    長野生まれ。個人的な体験と政治的な問題を交差させ、あらゆるクィアネスを少しずつでも掬い上げ提示できる表現をすることをモットーに、イラストレーター、コミック作家として活動しつつ、エッセイなどのテキスト作品や、それらをまとめたジン(zine,個人出版物)の創作を行う。