第4回
秋は実りと収穫の季節
2015.12.01
胡同の黄昏
多田麻美
張全
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第4回 秋は実りと収穫の季節
大都市にいると、つい実感が薄れがちになることだけれど、胡同の住民たちの胸には意外としっかりと刻まれている。
なぜなら胡同では、カボチャ、トウガラシ、カキ、ザクロ、ブドウ、ナツメなどが常連で、その熟れ具合の観察は秋の密かな楽しみだからだ。
ある日、隣人のおじさん、AさんとBさんが家の屋根の上にいた。
Bさんの家のカボチャのつるが、壁を越えて他の家に伸びて行ってしまったので、必死で引っ張り戻しているという。
つい、人の都合に左右されるカボチャが気の毒になるとともに、思いだすのは、今はもう消えてしまった方盛園胡同の、自由奔放なカボチャたち。
あの実は、何家族で分け合ったのだろうか。