第1回 なに見ているの?

今年1月に刊行された『老北京の胡同――開発と喪失、ささやかな抵抗の記録』は、朝日新聞、週刊文春、信濃毎日新聞、聖教新聞など、各紙誌で大きく取り上げられている。

多田さんの15年間の取材と観察の集大成であるが、本書収録の写真(多田さんのお連れ合いの張さん撮影)も、胡同の魅力と大きな変化を伝えてくれる。張さん自身も胡同育ち。胡同とそこで暮らす人々を特別の思いとあたたかいまなざしで写し取っている。今回は、紙幅の都合で載せられなかったさまざま写真をご紹介する。

また4月11日から、東京神保町で、「北京・胡同の四季 張全写真展」が開催される。詳細は下記の通り。そちらもあわせてご覧いただきたい。

北京・胡同の四季 張全写真展
会期 4月10日(金)~4月17日(金)午前11時~午後7時(会期中、休みなし)

会場 「ブックカフェ 二十世紀」 千代田区神田神保町2-5-4 開拓社ビル
古書「アットワンダー」の2階(地下鉄・神保町駅A1出口から右手にまっすぐ30秒ほど)。

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胡同で人々が住む家屋は、狭く、日当たりが悪いことも多い。

だがだからこそ、胡同が多目的スペースとして生きてくる。

以前は時おり、道端の将棋用の机で宿題をする子供を見かけた。親が引く三輪リヤカーの荷台で本を読む子供や、市場の陳列台の下でドリルをする子供なども目にした。

そんな時と同じように、胡同の曲がり角でこの子と出会った時も、つい立ちつくしてしまった。

今、この胡同は消えつつある。夢が育まれた階段とともに。