モヤモヤの日々

第66回 やる気

浜の真砂は尽きるとも世にモヤモヤの種は尽きまじ。日々の暮らしで生まれるモヤモヤを見つめる夕刊コラム。平日17時、毎日更新。

やる気というものは厄介で、あったりなかったりする。すごくやる気があるときもあれば、すごくやる気がないときもある。常にほどほどのやる気を維持し続けるのは、意外と難しい。

これは僕が人より特別に気分屋だからではなく(自分では気分屋ではないと思っている)、程度の差こそあれ誰にでもそういう要素はあるのではないか。やる気は、あったりなかったりする。どんな偉い人でも、やる気がないときはない。仮に、やる気がないときにやる気がある人がいたとするならば、そのスキルは人類の貴重な財産になるので、すぐさま本を書き、多言語、多地域で発売するべきだ。世界的なベストセラーになるに違いない。少なくとも僕は即購入する。

しかし、実際にはそんな人はいないので上手くはいかない。だから、たとえやる気がなくてもやるべきことはやれるように、仕組みやルールをつくることを、最近思いついた。たとえば、朝9時までにはパソコンの前に座り、正午から1時間ほど休憩して、夕方、夜まで働く。毎週木曜日の午後4時から1時間は、必ず仕事部屋を片付ける。そうやってやる気がないときでもある程度はやれるように、仕組みやルールをつくり習慣化していけば、仕事が進むのではないか。

つい先程も、そんなことを考えながら、僕ってなんて冴えているのだろうと自分に感心していた。やる気について見切ったつもりでいた。とくに仕事においての「やる気問題」についてずっと悩み続けていたが、これで解決するに違いない。しかし、よくよく考えてみると、僕が思いついたやる気にかんする対処法のすべては、会社員時代には当然のように行われていたものばかりだった。フリーランスになって8年以上経っていた。僕は本当に愚鈍な人間である。

 

宮崎智之1982年生まれ、東京都出身。フリーライター。著書『モヤモヤするあの人 常識と非常識のあいだ』(幻冬舎文庫)、共著『吉田健一ふたたび』(冨山房インターナショナル)など。2020年12月には、新刊『平熱のまま、この世界に熱狂したい「弱さ」を受け入れる日常革命』(幻冬舎)を出版。犬が大好き。
Twitter: @miyazakid