モヤモヤの日々

第42回 拝啓、週刊誌様

浜の真砂は尽きるとも世にモヤモヤの種は尽きまじ。日々の暮らしで生まれるモヤモヤを見つめる夕刊コラム。平日17時、毎日更新。

つい先日のこと。僕はある原稿の資料として、最新号の週刊新潮に掲載されている記事を読みたかった。コンビニはマンションと目と鼻の先だし、そこで売っていなくても徒歩10分くらいの場所に書店がある。複数の原稿を抱えていたため、まだいいや、まだいいやと思っているうちにその原稿の締め切り日が迫ってきて、いつも通り慌てはじめた。

コンビニはすぐだが、もう売っていない可能性がある。1分1秒でも時間が惜しいと考えた僕は、「そうだ。こういうときにこそ!」と、AmazonのKindle版(電子書籍)で購入することにした。しかし、購入したKindle版にはお目立ての記事がない。なぜだろう。目次に戻っても見つからないし、全ページ(電子で)めくってみてもやはりない。こんな理不尽なことがあるだろうか、と思いながら表紙に戻るとそれは週刊文春だった。

しまった! ついうっかりミスをしてしまった。まあ焦っていたのだから仕方ない。週刊文春も仕事が終わったら読むだろう。気を取り直して週刊新潮のKindle版を購入しようとしたところ、週刊新潮にはKindle版がないことがわかった。なるほど。そうなのか。

ならば買いに行くしかないと決心したその瞬間、妻が僕の仕事部屋のドアをノックし、「ちょっとコンビニに行ってくるね」と伝えにきた。なんと神がかったタイミングだろうか。僕は「週刊新潮があったら買ってきて」とお願いし、「はーい」と言って妻は部屋を出た。

果たして、妻が好物のブルガリアヨーグルトと一緒に買ってきてくれたのは週刊文春だった。結局、そのあとすぐ僕がエレベーター(焦っている僕には、実はこれが面倒くさいのだ)を降りてコンビニに行き、無事に最新号の週刊新潮を購入できたのであった。

それにしても、恐るべき週刊文春。週刊新潮を買おうとしても、なぜか週刊文春を買ってしまう。週刊新潮だって、超メジャー週刊誌である。発行部数こそ下回っているものの、歴史は週刊文春よりも古い。それほど週刊文春に勢いがあるということだろうか。

しかし、これは僕ら夫婦が間抜けなだけで、週刊新潮さんはまったく悪くない。こんなコラムまで書いて失礼である。読みたかった記事はとても参考になった。最終的にはしっかり購入したので、ご無礼をお許しいただきたい。そして週刊文春さんには、同じ号のKindle版と紙版の2種類を購入したということをお伝えしたい。さらに、もしかしたらご存知ないもしれないが、僕は週刊新潮さん、週刊文春さんに限らず、日本中で発行されているすべての週刊誌が大好きであり、かつ昨年12月に新刊を発売したばかりなのだ。

新刊の書評でも掲載された日には、もう何冊購入してしまうのか自分でも見当がつかない。

 

宮崎智之1982年生まれ、東京都出身。フリーライター。著書『モヤモヤするあの人 常識と非常識のあいだ』(幻冬舎文庫)、共著『吉田健一ふたたび』(冨山房インターナショナル)など。2020年12月には、新刊『平熱のまま、この世界に熱狂したい「弱さ」を受け入れる日常革命』(幻冬舎)を出版。犬が大好き。
Twitter: @miyazakid